京都の豊かな地下水と文化
京都は三方を山に囲まれた盆地に位置し、清らかな地下水と川の水に恵まれた地です。こうした自然の恩恵を受け、京野菜や日本酒、染物など、さまざまな地域産業が発展してきました。
京都盆地の地下には、琵琶湖の約8割に匹敵するほどの水量が蓄えられているとされ、その豊富な水資源は1000年以上続く都の基盤となってきました。
たとえば:
- 下鴨神社は、平安京の水源を守るために建立されたとされ、
- 伏見地区は、酒造りに適した名水の地として知られています。
- また、京友禅の染色では、色を洗い流すために温度が一定で不純物の少ない井戸水が重宝されています。
まさに、京都の文化と生活は地下水と切っても切れない関係にあるのです。
豆腐と湯葉—京都の井戸水が支える和の逸品
京都では、古くから井戸水を使った豆腐や湯葉づくりが盛んに行われてきました。特に豆腐作りは、大豆を一晩水に浸すことから始まります。このとき、季節や温湿度に応じて吸水時間を微調整し、品質を一定に保つことが職人の技とされます。
水を吸った大豆は約2倍に膨らみ、たっぷりと水分を含んで柔らかくなります。ここで重要になるのが、京都の澄んだ地下水(伏水)。地質調査によると、この伏水は現在でも安定しており、枯渇の心配がないといわれています。
また、湯葉は大豆からにがりを加えて加熱し、表面にできる薄い膜をすくい取って作られます。湯葉には植物性たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄分など栄養素が豊富で、ヘルシーな食材としても人気です。見た目も繊細で上品な湯葉は、京都のお土産や懐石料理に欠かせない一品となっています。
当店でも、**こだわりの井戸水と国産大豆を使用した「すくい豆腐」**を提供しています。ぜひ一度、そのまろやかな味わいをご賞味ください。
湯豆腐の元祖—400年の歴史を誇る名店「奥丹」
京都には、**日本で最も古い湯豆腐専門店「奥丹(おくたん)」**があります。その創業はおよそ400年前、江戸時代初期にまでさかのぼります。代々受け継がれてきた味は今も多くの人々に愛され、「湯豆腐といえば奥丹」と言われるほど高い知名度を誇ります。
奥丹のこだわり
- 使用する大豆は厳選されたもののみ。
- にがりは天然由来のものを使用。
- すべての豆腐は職人が毎朝手作業で仕込み、その日に提供される分だけを丁寧に作ります。
このようにして出来上がる豆腐は、程よい固さと上品な風味が特徴です。湯豆腐セットは一種類のみという潔さで、湯豆腐に加えてとろろご飯や天ぷらなどが付きます。薬味にはネギとともに、香り豊かな山椒が添えられ、絶妙なアクセントとして評判です。
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